タイトルのblack treacleは黒蜜のこと。黒くてとろっとした見た目は似ているものの毒のあるタールを引き合いに出し、登場人物たちの関係性をやんわり仄めかす歌詞がお見事です。
Lately, I've been seeing things
この頃、いろんなものを見てきた
Belly button piercings
In the sky at night
夜空に浮かぶ、へそピアスとか
When we're side by side
君と並びあって
And I don't mean to rain
On anybody's cabriolet
他人の問題に口を出すつもりはない
One of those games you're gonna lose
いずれ君はゲームに負ける
But you wanna play it, just in case
それでも一応、君は戦いたがるんだろうけど
Now it's getting dark and the sky looks sticky
辺りは暗く、空模様は怪しくなってきた
More like black treacle than tar
黒蜜よりタールに似てる
Black treacle
黒蜜か
Somebody told the stars you're not coming out tonight
誰かが星に言ったんだろう、今夜は顔を出さないようにと
And so they found a place to hide
そして彼らは隠れる場所を見つけたんだ
Does it help you stay up late?
遅くまで起きていられるようになったかい
Does it help you concentrate?
集中できるようになったかい
Does it tune you in when you chew your chin?
歯を食いしばれば調子が出るようになったかい
And I ruining your fun?
僕は君が楽しむのを邪魔しているのかな
立派な言葉を並べ立てるけど、
But do you walk the walk or catch the train?
君はちゃんとやるのだろうか、それともずるをする?
You wanted it, you got it
君は欲しいと思ったら手に入れられた
But you don't want it now
でももう欲しくないんだね
Now it's getting dark and the sky looks sticky
辺りは暗く、空模様は怪しくなってきた
More like black treacle than tar
黒蜜よりタールに似てる
Black treacle
黒蜜か
Somebody told the stars you're not coming out tonight
誰かが星に言ったんだろう、今夜は顔を出さないようにと
And so they found a place to hide
そして彼らは隠れる場所を見つけたんだ
Now I'm out of place and I'm not getting any wiser
もう僕はそこにいるべきじゃないし、これ以上賢くなることもないだろう
I feel like the Sundance Kid behind a synthesizer
And I tried last night to pack away your laugh
それで昨晩、君の笑い声をしまって遠ざけようとした
Like a key under the mat
マットの下に隠した鍵のように
But it never seems to be there when you want it
でもそれは欲しいときに限って見つからないんだ
Black treacle
黒蜜か
メモ
belly button
「へそ」
rain on your parade
楽しいパレードに雨を降らせてがっかりさせることから「(喜んでいるところに)水を差す」
cabriolet
「二輪馬車」「ほろ馬車」「クーペ」
And I don't mean to rain on anybody's cabriolet
直訳は「誰かの幌馬車に雨を降らせる気はない」"rain on your parade"のparadeがcabrioletに置き換えられています。cabrioletは屋根の付いた馬車で、外から乗っている人の姿が見えにくく、お祭りムードに合う乗り物ではなさそうです。そのことから、"parade=楽しい"とは逆の意味でcabrioletが用いられていると思われます。悩みとか問題とか、そんな感じかな。
just in case
「念のため」
sticky
「ねばねばする」「蒸し暑い」「厄介な」
treacle
「糖蜜」
tar
「タール」「(煙草の)ヤニ」隠語で「ヘロイン」
タールは石炭や木炭からつくられるとろっとした油状の液体。石炭から作られるコールタールには毒がある。
clench one's jaw
「歯を食いしばる」
曲中の"chew your chin"はこれの言い換えみたいです。
walk the walk
「有言実行する」
But do you walk the walk or catch the train?
この"walk the walk"は「ちゃんと実行する」と「歩く」のダブルミーニング。
out of place
「場違い」「浮いている」
Sundance Kid
西部映画『明日に向かって撃て!』のこと。原題は"Butch Cassidy and Sundance Kid" ブッチとサンダンス・キッド、二人の強盗たちの逃走劇が繰り広げられます。
"I feel like the Sundance Kid behind a synthesizer"というフレーズは、正統派ギターロックからシンセサイザーのような電子楽器を取り入れるようになり、変化したバンドの音楽性について言及したものみたい。前のフレーズで"out of place(場違い)"と言っていることを合わせるとフロントマンのアレックス氏はシンセサイザーを取り入れることに迷いがあったのでは?と考察されているよう。