穏やかでどこか神聖な雰囲気すら感じさせるメロディーですが、テーマは薬物中毒です。タイトルのFaith Healerは信仰療法を行う人のことで、日本で言う「祈祷師」のようなもの。科学的な効果があるわけではなく、言ってしまえばいんちきなのだけれども、一部の人は信じて縋ってしまう。それが、薬物の与える害と高揚感のメタファーになっているわけですね。当人もドラッグとアルコールに依存していた過去があるそうです。この曲が収録された『Little Oblivion』はどん底の状態からお酒を断ったり、大学に復帰して好きなことを勉強したりしながら、自分と向き合う過程で作られていったアルバムとのこと。
思うに、つらいときそれがなんであれ縋れるものがあるっていうのは、まだいいことなのかもしれないな。日本の多くの病んだ若い人達みたく死ぬことを選ぶ前にドラッグに頼るって手段があると考えると。いや、その前にもちろん誰かに頼ろうね。
Ooh, I miss it high, how it dulled the terror and the beauty
あの高揚感が恋しい、恐怖も美も鈍らせてしまう感覚が
And now I see everything in startling intensity
今はすべてが驚くほど鮮明に見える
Oh, what I wouldn't give if it would take away the sting a minute
一瞬でもこの痛みから解放されるなら何だってするわ
Everything I love, I'd trade it in to feel it rush into my chest
この胸が満たされる体験ができるなら愛するものすべてを差し出すわ
The smoke alarm's been going off for weeks
何週間も火災報知器が鳴り続いている
No one showed up and half the time it isn't what you think of
誰も来ないし、いつだって思いどおりにはならない
Faith healer, come put your hands on me
フェイス・ヒーラー、その手で私に触れて
A snake oil dealer
偽薬の商人
I'll believe you if you make me feel something
私の心を動かすことができたらあなたを信じるわ
メモ
dull
「鈍い」「ぼんやりした」
startling
「衝撃的な」
intensity
「強烈さ」「迫力」
what I wouldn't give for~
「何を与えずにいるだろう」→「○○為ならなんだってしよう」の意。
「刺す」「チクチクさせる」
smoke alarm
「火災報知器」
half the time
「半分の時間」って書いてるのに実際は「ほとんど」「しょっちゅう」という意味。
faith healer
信仰療法を行う人。
snake oil
元々は行商人が「万能薬だよ!」とうそぶいて売りさばいていたいんちき薬のこと。そこから「怪しいもの」「あてにならない話」という意味も。