オーストラリア、メルボルン出身のシンガーソングライター。まだこの曲しか知らないけど、軽妙洒脱なストーリーテリングがいいですね~軽快でシンプルなギターロックもアガる。ボブ・ディランのように飄々とギターをかき鳴らしながら歌う姿が目に浮かぶようです。
この曲ではある若い男の子が急に嫌気が差して仕事をサボるところに始まり、エレベーターで自分とは真逆のいかにも金持ちそうな年上女性とばったり出会う様子が描かれています。屋上階のボタンを押す彼を見て、もしかして飛び降りる気なんじゃ?と勘違いした彼女は彼を思いとどまらせようとするんだけど、そんな彼女に彼は「自分がそうだから、僕が飛び降りると思ったのでは?」みたいなことを言い返します。たとえ経済的に豊かであっても心が幸福とは限らないというジレンマが見事に表現されていますよね。この人を掘っていくの楽しみだ。
Oliver Paul, 20 years old
オリバー・ポール、20歳
Thick head of hair, worries he's going bald
髪が濃くて禿げることを心配してる
Wakes up at quarter past nine
9時15分に起きると
Fare evades his way down the 96 tram line
96系統の路面電車にタダ乗りする
Breakfast on the run again, he's well aware
今日もゆっくり朝ご飯が食べられないことはよく承知で、
He's dropping soy linseed Vegemite crumbs everywhere
あちこちにベジマイトを塗った大豆亜麻仁パンのくずをこぼしてる
Feeling sick at the sight of his computer
コンピューターを見ていたら気分が悪くなった彼は
He dodges his way through the Swanston commuters
スワンストン通りを行く人達の間をすり抜けていった
Rips off his tie, hands it to a homeless man
Sleeping in the corner of a metro bus stand and he screams
ネクタイを取ると地下鉄のバス停の隅で寝ていたホームレスに渡し、こう叫ぶ
"I'm not going to work today
「今日はもう働かないぞ
Going to count the minutes that the trains run late
電車が何分遅れるか数えたら、
Sit on the grass building pyramids out of Coke cans"
芝生に座ってコーラの缶でピラミッドを作るんだ」
Headphones wielding to the Nicholas building
ニコラス・ビルにヘッドフォンを振りかざしていたら
He trips on a pothole that's not been filled in
埋められないままの道路のくぼみに躓いた彼
He waits for an elevator, one to nine
9階に上がるエレベーターを待っていると
A lady walks in and waits by his side
一人の女性がやって来て彼の隣に立った
Her heels are high and her bag is snakeskin
彼女はヒールの高い靴を履き、蛇皮のバッグを持っていて
Hair pulles so tight you can see her skeleton
頭蓋骨が見えそうなくらい髪をひっつめている
Vickers perfume on her breath
息からは酒の匂い
A tortoise shell necklece between her breasts
谷間にはべっ甲のネックレス
She looks him up and down with a botox frown
ボトックスした顔をしかめて彼を上から下まで睨め回す彼女
He's well used to that look by now
彼はもうそんな顔には慣れている
The elevator dings and they awkwardly step in
エレベータのベルが鳴り、お互い気まずそうに乗り込むと
Their fingers touch on the rooftop button
屋上階のボタンを押す二人の指が触れた
Don't jump little boy, don't jump off that roof
坊や、飛んではダメよ、屋上から飛び降りてはダメ
You've got your whole life ahead of you, you're still in your youth
まだ若いんだし、これから楽しいことが待ってるわ
I'd give anything to have skin like you
私だってあなたみたいな肌になれるなら何でもしたいもの
He said "I think you're projecting the way that you're feeling
彼は言った「あなたは僕の中に自分を見ているんじゃないですか
I'm not suicidal, just idling insignificantly
僕に自殺願望はないし、ちょっと仕事をさぼっているだけ
I come up here for perception and clarity
ここに来たのは頭をすっきりさせたかったからです
I like to imagine I'm playing SimCity
自分はシムシティをしてるんだって想像するのが好きなんですよ
All the people look like ants from up here
ここから見下ろすとみんな蟻みたいでしょ
And the wind's the only traffic you can hear"
それに聞こえてくるのは風の音だけ」
He said "All I ever wanted to be
そしてこう続けた「僕はずっと
Was an elevator operator, can you help me please?"
エレベータボーイになりたかったんです、後押ししてくれます?」
Don't jump little boy, don't jump off that roof
坊や、飛んではダメよ、屋上から飛び降りてはダメ
You've got your whole life ahead of you, you're still in your youth
まだ若いんだし、これから楽しいことが待ってるわ
I'd give anything to have skin like you
私だってあなたみたいな肌になれるなら何でもしたいもの
Don't jump little boy, don't jump off that roof
坊や、飛んではダメよ、屋上から飛び降りてはダメ
You've got your whole life ahead of you, you're still in your youth
まだ若いんだし、これから楽しいことが待ってるわ
I'd give anything to have skin like you
私だってあなたみたいな肌になれるなら何でもしたいもの
メモ
evade
「回避する」「うまく切り抜ける」
linseed
「亜麻仁」
野菜をイースト菌で発酵させたペースト。オーストラリアやニュージーランドではよくパンに塗って食べられるけど、世界一まずいジャムと呼ばれることも。
Swanston
メルボルンのビジネス地区にある大通り。
wield
「(剣などを)振り回す」「(道具を)使う」
Nicholas Building
1926年にメルボルンに建てられた歴史ある建物でランドマーク的存在。
pothole
浸食などによって道にできた穴やくぼみのこと。
Vickers
ジンの名前。
tortoise shell
「べっこう」
You have your whole life ahead of you
「人生はこれから」人生に悩む人を励ますときによく言われるセリフ。
idle
「働かないで怠けている」
insignificantly
「取るに足らない」
perception
「知覚」「直観」
clarity
「明快さ」「透明さ」
プレイヤーが市長になって街を作っていくゲーム。